伊東市 新築戸建て 新築日誌
T様邸④ 断熱材と国産木材
皆様、こんにちは。
前回は耐久性のカギである木材の天敵についてお話をさせていただきました。
伊東市 新築戸建て 新築日誌T様邸③ 木材の大敵は?
今回は、T様のご要望である「あたたかい家」を叶える断熱材と、構造材の耐久性につながる「国産木材」についてご紹介します。
断熱材とは?
断熱材とは、熱移動や熱伝達を減少させるもののこと。
つまり、家の熱が外に出てしまうこと(熱移動)や、外の熱が家の中に伝わること(熱伝達)を防いでくれるもの。
断熱材なしには「あたたかい家」づくりはできない!と言えるほどです。
今回の施工で、T様邸には、断熱材にセルローズファイバーを採用しています。
四角いマットやボード状の断熱材とは違い、綿状の素材のセルローズファイバー。
取扱いは、専門のマシンを使って断熱のプロが吹き込みます。
なので、仕上がりがとってもきれい!
このセルローズファイバーは、古紙を主原料としたエコ素材で吸放湿性があり、結露発生を防ぎます。
結露防止の防露性の他にも、防音性、防カビ性、難燃性にもすぐれた断熱材なんですよ。
(なぜ結露防止が大切なのかは、前回のブログを読んでみてくださいね。)
コストが一般的なグラスウールなどに比べると少し高いので、日本での断熱材としてのシェアはまだまだ低いのですが、欧米諸国とくにアメリカでは最も多く使用されている断熱材です。
国産木材にこだわる理由
長寿命で地震に強い家をご希望のT様邸。
長持ちする家をつくるために、土台と柱には耐久性の高い国産桧を採用しました。
梁桁(ハリゲタ)や母屋(モヤ)、束(ツカ)などといった住まいの構造を支える木材の約90%を国産木材にしています。
※梁桁には国産材の杉とアメリカ産材の米松の異樹種構造用集成材、「ハイブリッドビーム」を採用、国産杉を米松でサンドした強度とコスパに優れた集成材です。
もちろん品質、強度、精度のよい外国産材もたくさん利用していますが、構造材だけは出来るだけ国産材にこだわりたいと思っています。
その理由は2つ。
・地域で育った木がその地域の環境に適している。
・地産地消が地域経済の発展と環境への貢献ができると信じているから。
当社の考え方であること、もちろん国産木材を超える高品質な木材が海外にはたくさんあることは承知の上です。
それでも国産木材にこだわるのは、長く材木店を営んできた弘木屋産業(株)がみてきたことから出た結論です。
例えば日本で今一番売れている柱材は、北欧産材のホワイトウッドと呼ばれている樹種の集成材です。
品質、精度、強度そして供給力とも申し分ありません。
当社が採用している桧の無垢乾燥材よりも強度は高く、集成材の特性でもある狂いも少なく、寸法精度も高い。
とても品質が高く使い易い材料なんです。
ですが、腐りとシロアリという欠点があります。
シロアリが好んで食べると表現する人もいるくらいです。
北欧にはシロアリが存在しませんので、湿気もなくシロアリも生息しない土地で育った木は、進化の過程で、虫害や腐朽菌に対する抵抗力をつける必要がなかったのではないでしょうか。
高温多湿な日本においてホワイトウッドを構造材として使うためには、万全のシロアリ対策と腐朽菌対策が必須になってしまいます。
また、日本には古くから多くの木造建築が残されています。
寺社をはじめ、普通の民家でも築100年以上の木造建築はたくさん残されています。
さらには、法隆寺は築1300年以上たった今でも現存している世界最古の木造建築物で、木材は桧が使われているんです。
もちろん桧を使えば大丈夫だなんてことは思っていません。
桧だって腐るし、シロアリの被害も受けます。
ただ言えることは、その地域の環境に適した木材を、木材が劣化しない環境で使用すれば100年以上の耐久年数があるのではないかということです。
この古き木造建築の構造材は国産材が使われてきたかと思われます。
しかも現代のような流通があるわけなく大半の木材が地産地消として地域で育ったその地域で使われていたと想像できます。
現在、日本の木造住宅の寿命は30年程度だとされています。
これには木造住宅の耐久性だけでなく、たくさんの理由があります。
私が仕事の駆け出しの頃、ある工務店の親方にこんなことを言われました。
「俺は断熱材は入れね~、家が傷む」
構造材である木材が腐るのを、高断熱、高気密のせいにする人がいます。
確かに断熱材を入れずに、室内と屋外の温度を同じにしておけば、結露など発生しません。
構造材が目視で確認できる真壁工法(シンカベコウホウ)にてシロアリと雨漏りに気をつけていれば、構造材は長持ちするでしょう。
でも、そんな生活ができるのでしょうか。
お施主様にとっては毎日暮らす家が、寒い・暑いでは快適な家とはいえないかと思います。
心地よく過ごせ、丈夫で長持ちする家づくりを私たちは目指しています。
全4回にわたる新築施工日誌ブログにて、T様邸の新築施工にのせた当社の思いが少しでも伝わっていただけたらと思います。